村人の道具2

村人の道具の2回目。今回も村人が道具の手入れをしている姿を通じて、道具を大事にしていることや、日本では見られない形の刀やナイフであることが記録できた。下段に2012年10月の記録から2種の道具についてそれら道具を使用する場面をYoutubeにUPしたので参考資料としてリンクを配置する。

道具の手入れ_1308HHL

( Youtube動画再生  01’31)

山刀の使い方_1210HHL

( Youtube動画再生  03’45)

このナイフがどのような場面で使われるのか確認していない。時期的なことからタケノコ採集で親株から切り離す時、またはタケノコの皮を剥いだ後表面を薄く削いで滑らかにする際に使用するのかも知れない。刃先が尖っていること、山刀と比較すると短いことにヒントがあるようだ。注目して欲しいのは右の写真にあるように、刀やナイフを身につけるためのサック、ホールダー。刃の長さに合わせて自分で作ったものを使っている。きっと儀礼用の刀やナイフ用のホールダーには思いがけない装飾や意匠が見られるかも知れない。

 ◆山刀の使い方/2012年の記録から

この項の一番上のシュロの刃の上の山刀が動画の冒頭と末尾の刀である。その下の3本の刀は当方が工作をするのにお借りしたもの。竹の加工では専ら手袋と写っている刃の短いものしか使いこなせなかった。

刃先の曲がった長い刀が独特であるが、日本の草刈り鎌と山刀の合わさったものと考えて良いだろう。前回の記録(2013年2月)ではこの先の曲がった山刀を研いでいる動画を紹介しているが、当方が借りたものはあまり使い込まれておらず刃先が残っている姿、上のシュロの葉の上のものは使い込まれ、研ぎ込まれして刃先の曲がった部分がほとんど残っていない姿に見える。

竹ヒゴ作りの繊細な作業、竹や木材に斧のように刃を当てたりと使用範囲が広い刀である。

 ◆金槌、鉈/2012年の記録から

何故このような形のハンマー/金槌になったのか考えてみると面白い。

当方は2013年に65歳になったが、子どもの頃は良く薪割りの手伝いをした。(喜んでやったか、嫌々やったかは別)当方の実家は製麺業で、当方が小学生の頃は麺をゆでるために深川・木場から大量に買い置いた木材を燃料に使った。木材を釜で燃やせる手頃な大きさにするために鉈や手斧は必需品であると同時に大変身近な道具だった。

現在の日本、都会では、ほとんど鉈や手斧を必要とする場面はなく、逆に持っていたら危険と思われるだけかも知れない。そういう環境にある日本の若者に冒頭の問いは意味はないのかも知れない。つまり、ハンマーの反対側が斧になっているのか、斧の反対がハンマーになっているのかを分けて考えられるかという問いなのである。

ハンマーの打撃の面の一部が釘抜きになっているというのも日本的にはユニークな形状である。

視点を変えて日本でもよく見られる普通?の形のハンマーもチェンライの市場の金物屋では当たり前に売っているが、村ではあまり見かけない。当方が日本からお土産に持参したハンマーもあるのだが、上の写真のものと比べると、比較にならない程軽くて頼りなく感じられたようである。軽く機能的で楽な道具よりも、重くても頑丈で使い手が機能を引き出せるものの方がこの村的なようだ。