アガパンサス/Agapanthus africanus
ロンドン滞在ホテルはハイドパークとノッティングヒルの中間、ちょっとハイドパーク寄りのところにあった。そこから近くのレストラン街に歩いて行くのだが、そのレストラン街に入る手前のアパートの庭に見事な花をつけたアガパンサスが覗けた。日本のベランダ園芸とは少し異なるが、ホテル周辺の建物はアパートというかマンションというか多くは集合住宅であり、道路に面した部分には地下の庭があり、そのほんのわずかな空間にも植木鉢やプランターを置き、木や草花を育てていた。
アガパンサスは当方の田舎、長野の従兄弟がアガパンサスの栽培を行っており、この花の時期に遊びに行くと、必ずお土産にこの花束をいただいた。この花を見るとき、そんな従兄弟家族の顔を思い浮かべる。
2008年10月に入って間もない頃、千葉大学自然科学研究棟に一般の人も入れる展示室があり、そこでアガパンサスやアマリリスなどが属するヒガンバナ科の植物の系譜が見られるというので覗いてみた。10月というと埼玉県高麗の巾着田のヒガンバナの時期でもあり、南アフリカ原産のものがどのような経緯で現在のような分布や品種に至ったのか興味があったからだ。(詳しくは千葉大学へ行ってください)
現在のように世界的な園芸熱の広がりにより、というかグローバル種苗企業の戦略により、国境なき園芸品種の横行の下では、自然の種の存在はほとんど忘れ去られがちである。その状況の下で、原種の系統を追いかけるということは大変な作業があったと推測する。これからも地道な研究活動を進めることを願っている。
ユリ科 アガパンサス属 多年草 南アフリカ原産
2008.07.18 筑波植物園ヒガンバナ科交配種(アマクリナム)
2001.09.24 サンフランシスコ
2011.05.14 長野県千曲市 アガパンサス