カナダ アルバータ州
Columbia Icefeld/コロンビア氷河
当方にとってコロンビア・アイスフィールドは今回の旅のハイライトともいうべきところだった。それは消えかかる氷河の終末とでもいえる状態に出会えたことである。右上の写真の下部に道路が写っているが、当方が生まれた1950年ごろはその道路より手前まで氷河が延びていて、10年で100m単位で後退し近年は更に後退を加速させているというゲスト・ハウスのガイドの説明を収録した。
大きな自然の節理に対して人間中心の負の分析など興味がない。人は人、自然は自然。当方は在りし日の氷河を目の前に写し出して、その雄大さや白く輝く光の帯びを楽しむことができる。何と幸せな瞬間に出会えたのだろう。
2009.08.22 コロンビア・アイスフィールド
2009.08.22 コロンビア・アイスフィールド
2009.08.22 コロンビア・アイスフィールド
2009.08.22 コロンビア・アイスフィールド
ゲストハウスの脇からバスで20分ほどなだらかな氷河が運んだ大小の岩の斜面に作られた舗装路の上を進むと、巨大なゴムタイヤをいくつも付けた雪上車が待ち受けていて、一同それに乗り換え、いよいよ氷河の上に乗り出す。バスの中も、雪上車の中もガイドが休むことなくアイズフィールドの説明をしている。この雪上車のガイドにも後で取材をする約束ができているのでうるさいとは言えない。車窓にビデオカメラを押し付けて氷河の姿を撮影し続けた。
上の写真は雪上車から降りて氷河に直接足をつけたところで撮影したもの。映像でしか見ていないが、ここの氷河はアラスカやヒマラヤ、ヨーロッパアルプスの人を拒絶するような威圧的なところは見えず、なんとも穏やかで女性的な姿であった。女性的であるということと終末に近いということには何の関係もないが、多くの観光客のはしゃぎ声を遠くに聞きながら、静かに滅びを待ち受けている姿と対峙し、その感動を記録した。
2009.08.22 コロンビア・アイスフィールド
Columbia Icefeld⇔Tompson Creek
アイスフィールドとキャンプ場の中間
上の6枚の写真は、お世話になったスピード狂のカナダ人コーディネータ(講師)が運転する、かなりの高速で走るキャンピングカーの車窓から撮影したものである。天候にも恵まれ明るかったことから高速シャッターが切れたこともあるが、それよりもカナダの自然条件がこれらの写真をもたらせてくれたと考える。
単純に比較はできないが、カナダは空気が清澄なこと。湿度が低いため遠景までくっきり見える。道路が広く、道路脇に電信柱や案内標識柱が少ないこと。道路と樹木までの距離が離れていること。そして最大の違いは自然のスケールが大きいこと。手前の樹木は飛ぶように過ぎ去って行くが山容はしばらくその姿を留めてくれる。なんとも素晴しい山容である。
ちなみに下4枚の写真の中間の緑の帯びが標高2,000m前後の森林限界、コロンビア・アイスフィールドのゲストハウス前の道路と同じ高さである。
下段6枚の写真の上2枚および上段のコロンビア・アイスフィールドの写真の氷河は、標高が高い山+北面に位置していることが見て取れる。