◆2003.05.04 自宅 ヘゴ着け

ラン科 セッコク属 多年草 湿潤な環境の樹木などに着生

セッコク/Dendrobium moniliforme

 2003.05.04 自宅 10年程前まで当方がのめり込んでいたのがこのセッコク(長生蘭)。フウラン(富貴蘭)や寒蘭、春蘭の収集というと余程のお金持ちでないとおいそれと手が出せないのだが、このセッコクであれば特別な銘品でないかぎり素人でも入手できたこと、育成が割合に簡単であること、ランに詳しい友人がいたことなどから少しづつ?集めていった。その集める時基準にしたのは池田書店刊の堀内一博著「長生蘭の栽培と増殖」の末尾に示された”平成元年 日本長生蘭連合会発行「長生蘭銘鑑」”。この「長生蘭銘鑑」は相撲の番付表を模した表現になっており、墨書で高級なものから並のものまでがランク付けと共に示され、自分の持っているものがどの位置にいるのか一目でわかるようになっていた。また、ある程度収集が進むと、既に持っているもの、まだ入手していないものを確認する目安となり大変便利だった。当方はこの本と「長生蘭銘鑑」のコピーを常時持ち歩き、機会がある度に展示即売会などに足を運んで未入手のものがないか物色し増やしていった。「長生蘭銘鑑」には130品種ほどの銘品が記載されていていたが、10年程前にはその内の100種近くまで収集が進んだ。また、株分けや高芽取りというセッコク独特の増殖法で鉢の数も増え、多いときでは300鉢を優に超え、毎年冬に古くなった水苔を新しい水苔に取り替える作業をするのだが、準備から植え替えまで10日間以上もかかるようになった。その時に使用する水苔も業者が使用する3Kパックを1回で使い切ってしまっていた。水苔で育てているもののほかにヘゴやコルクに着生させているものもあり、今思い出すとお気に入りのセッコクに囲まれて本当に幸せな時を過ごしていたと思う。

 現在はというとヘゴに着生させたものが僅かに生き残っているのみで、鉢植えのものはほとんど枯らしてしまった。江戸時代から育て継がれてきたものを、仕事の都合もあったとはいえ、管理しきれず枯らしてしまったことを申し訳ないと思っている。

 セッコクの育成に熱が入らなくなった一つのできごとは、毎年2月に東京ドームでラン展が開催され、世界中のランが展示即売されるなか、国産の野生ランの即売コーナーも設けられる。5〜6年程前、久しぶりにラン展会場に足を運んだとき、ブースの一つで「長生蘭銘鑑」には記載されていないセッコクの品種がたくさん並べられているのを見つけたので店員に話を聞いた。すると、新規にこの業界に参入するには新たな素人受けする品種を開発し販売するのが手っ取り早く、その新品種を開発するためにこぞって、業者間では洋種のデンドビュームとセッコクとの掛け合わせにしのぎを削っているということだった。がっかりした。

 それに追い打ちをかけるように当時最新のセッコクの図鑑を見せてくれ、なんとそこには既に300種近い品種が登録されていたではないか。自分の手本にしていたものばかりに目をやり、新しい動きを見落としていただけのことかも知れないが、非常にがっかりしてしまい、例年新芽が動き出す前にやっていた植え替えもやる気が失せてしまった。

 日本には古典園芸という世界があり、セッコク、フウラン、寒蘭、春蘭、万年青など江戸時代から受け継がれた品種の保存・育成に努めている。当方はその一端をかいま見たのだが、そのどれか一つを手に取って眺めていても、元禄時代の町人文化が花開いた頃が伝わってくるような気がした。一度枯らしてしまったものは還らないが、退職でもして時間ができるようになったらまた始めようか。

興味のある人は下のコーナーも見てください。

セッコク(長生蘭)品種

植え替え作業

鉢、用土など

 ◆2012.05.28 芦ケ久保/正丸

セッコク01_2003_自宅

( Youtube動画再生  01’35

 ◆2017.05.12 自宅/銀龍
 ◆2018.04.24 自宅/銀龍
 ◆2019.05.13 自宅/銀龍
 ◆2019.05.15 自宅/銀龍
 ◆2020.06.02 自宅/銀龍,大同中斑
 ◆2022.01.17 自宅/銀龍 
 ◆2022.01.17 自宅/大同中斑
 ◆2022.04.27 自宅/銀龍 
 ◆2022.05.07 自宅/銀龍 
 ◆2022.05.07 自宅/大同中班 
 ◆2023.04.19 自宅/銀龍
 ◆2023.04.22,05.04 自宅/銀龍
 ◆2023.05.29 自宅/ 大同中班
 ◆2023.05.31 自宅/ 大同中班