タンポポ(白花)

白花タンポポは関東タンポポに見られる特徴の一つ。

 2001年記:上の写真は東京渋谷のNHK西口脇の歩道に面した斜面の極狭い範囲に、毎年3月から4月初めにかけて開花する白花タンポポ。これが見られるのはこの短い一時期だけ。ほんの少し遅れて西洋タンポポも咲き始め、4月半ば以降はこの斜面は西洋タンポポに覆われる。西洋タンポポは関東タンポポなどに対して忌避物質を出して、それらの生育を阻害するといわれるが、ここでは僅かに開花の時期を早めることで同居している。

 かなり前のことになるが、この白花タンポポを残したいと思い種子(綿帽子)を採集してこの斜面の離れたところや代々木公園の陽当たりの良い斜面、さらに自宅でも蒔いてみたが発芽した形跡は見られなかった。というより、種を蒔くまでで自分の行為は完結していて、その後観察するところまでプログラムに組み込んでいなかったようだ。

 明治天皇の廟所である明治神宮の森では思いがけない野草と出会うことがあり、それを楽しみに四季を通じてカメラを抱えて散策した時期があった。そのとき知り合う?というより、つい立ち入り禁止のところに足を踏み入れ、それを注意されることが重なって顔を覚えられたのだが、その神宮の管理人の話では、今でも各地から野草を持ってきて植える人が結構いるとのこと。思いがけない野草との出会いのからくりを解き明かされた。

 明治神宮のすぐ隣の代々木公園もその隅々まで野草の観察や撮影をしたところであるが数年前から行かなくなった。それは園内の整備のため、それまで野生を保っていたところに花壇を作り、ガーデニングよろしく最近の花屋の商品である園芸植物の陳列場としたことにがっかりさせられたからである。

 緑がない都会に緑を増やしてくれるのはとても良いことだと思う。しかし、緑は人のためばかりではなく、ほかの、人と一緒にこの都会という環境で生命を育んでいるさまざまな生き物にも大切なものである。人のためにきれいな花も良いが、それまで形成されていた野生を退けて海外の種の品種改良植物を持ち込むことはないだろう。

 ◆2000.04.22 代々木公園交番脇
 ◆2001.04.12 代々木公園交番脇
 ◆2001.03.04 代々木公園交番脇

関東タンポポ06白花_220413_北小南

( Youtube動画再生  01’58" )

 ◆2022.04.12 北小南