村で工作/前回の作の現状

2013.08 HHL 当方が滞在する村の長老の一人の作棚。そこに前回(2013年3月)に当方がトライした竹のラン鉢の試作が並べられていた。見るまでは既に壊れているかと推測していたのだが、以外に原型を保っていることに驚いたというのが正直なところ。

形が壊れてしまっているのは、下段の写真の左の細かい作を施したもの。草の蔓を装飾的に巻いていたのだが、それが辛うじて形を留める役割を果たしていた。他のもの、この家のご主人が作った持ち手のついた鉢を含め、形はまずまずで植え込まれたランのコンディションもまずまず。ただ、後半年経つとどうか、2年先はどうかというと少々心許ない状態。ランの種やコンディションにもよるが、そうたびたび植え替えるものではなく、およそ2年くらいは同じ環境、鉢で管理するのが一般的。従ってラン鉢として機能させるとしたら2年間の使用に耐えることが一つの条件となろう。


前回作った鉢をよく見ると竹の材に巣食う虫の齧った木の粉がたくさんついていた。そして鉢の下の方、作棚と接している辺が多いようだった。当方は空中に吊るすものと考えて作っていたのだが、棚に置くことによって、湿気が滞る部分が出来てしまいそこが虫にとって居心地が良いところとなったのだろう。


そこで、今回作るものは鉢底に当たるところに空気の通り道となる切れ込みを加えること。または空気を通す台座部を設けることにした。またできるだけ空中栽培のための釣り紐をつけることにした。

 ◆2013.08 HHL  家のご主人の手作りのバスケット

2013.08 HHL  建築のは材などを利用して作られたバスケット。棚に接する部分は間隙を作って空気の流通を妨げないようになっている。また上に向かって間口を広くしているのがアイデアである。

これはいわゆるバスケットではなく、植木鉢そのもの。というのは別のところで記したが、このHHL周辺に産する材木は堅くて重いので、湿気の多い環境でも腐りにくいかも知れないが、実際に持ち上げてみたがすごく重い。これを空中に吊るすとなるとかなりしっかりした紐と釣り金具が必要になってしまい、それまでするなら下に置いた方が良いということになる。

バンダなどの品種によっては、これでも空気の流通が悪いと感じるものがあるので、何を植えるかを選択する必要があるだろう。

2013.02 HHL/チェンライ

これはバスケットの作りや材質が良くわかる写真。この村で良く使われている材木は湿気に強い密度の高い材、多分チークなどであり、南洋材として知られるラワンなど木目のほとんどない材と比べると、同じ太さ長さのものでもこの村のものは数倍も重たい。このバスケットもその端材等を利用して作られていて、ずっしりと重い。つり下げように細い針金が装着されているのが見えるが、この細さの針金ではこのバスケットの重さを支えられないのではないか、そのために棚に平置きしているように推測した。

この村の産業の一つにタケノコの採集と加工がある。それを支える竹がたくさん育てられていて、建築の用材としても利用されているが、年々木材の板壁に置き換わって来ているようで、切り倒され山中に放置された太い竹が良く見受けられた。そこで、それら見捨てられた竹の再利用と、村の新しい加工品をということで、竹のバスケットを考えて見た。上が当方が村で作ったもの。下は当方が使っている見本の鉢の写真を見てもらい、家のご主人が作ったもの。詳細は2013年2月「村の点景」、「村での工作」参照。

竹の細工に関しては村人はプロ中のプロ。当方はアイデアや道具を示すだけでもいいのだが、当方自らが村の竹の細工を楽しむことで、より相互の距離が縮まるにではないか。きっと村人から見ると当方の村の刀の使い方は危なっかしくてみていられなかったに違いない。自分たちの方が上手く、格好良くできると思ってもらうのが狙いでもある。そこからいろいろなアレンジが生まれて、村の独創になって行くに越したことはない。

村人との交流だけに目を向けるのであればこれで良いのだが、本当の良いか良くないかはランが決めること。ランがこのような試みの中で元気に育つか、きれいな花を咲かせるかが問題。

 ◆2013.02 HHL 村のラン栽培棚と鉢、バスケット
 ◆2013.02 HHL 竹でラン鉢作り
 ◆2013.08 HHL 2013年2月作成のラン鉢の半年後の状態
 ◆2014.08 HHL 

これもニウェさんのランの一部。ニウェさんのお宅の正面を流れる小川の岸辺に位置する、大人の胸の辺りで切り払われた結構太い木。元々はDen.クリソトキサムの後ろを取り囲むように生えているカザリシダが我が物顔をしていたが、クリソトキサムの花の鑑賞の邪魔になったのか、手前にあったカザリシダが整理されてしまったようだ。

ニウェさんのラン棚。竹ヒゴで目の粗いネットが編まれていた。ニワトリ除けなのだろうか。当方が工作した竹の鉢を陽の当たる前面に据えてくれて、日本から持参したのも、市場から買ってきたのも皆、元気に育っているのはニウェさんのおかげ。感謝!

 ◆上段は2013.02 HHLの記録、2013年8月以降は下段に追記
 ◆2015.02 HHL 

栽培棚a_1502HHL

( Youtube動画再生  00’55)

 ◆2015.02 HHL 

ニウェさん栽培棚b_1508HHL

( Youtube動画再生  01’07)