アカボシゴマダラHestina assimilis

◇白いアサギマダラ?

2009.06.14ガイコツ山 (北中の森) で撮影した。ビデオも用意していたがこのチョウを見つけた時はデジカメのみ。従ってビデオでは記録していない。ビデオで撮影しようと50mほど離れた場所にビデオを取りに行っている間に消えてしまった。

撮影場所は畑に面した雑木林の縁。以前ウシカメムシを撮影したところ。モンシロチョウも数匹飛んでいたので初めは見過ごしていたがトホシテントウを撮影しているすぐ目の前に飛んできた。その大きさや黒い筋がくっきり見えたことからモンシロチョウではないのはわかった。畑の野菜クズを捨てたところに下りてきたのですかさずシャッターを切った。

頭部や胴体、そして飛び方はアサギマダラとそっくり。大きさはアサギマダラより少し小さいか。翅の付け根はほんのり青みがかって見えた。

帰宅してから図鑑で調べたがアサギマダラの幼チョウがどのような姿なのかわからなかった。専門家に聞かないとわからないな。

◆上の写真のUP

◆上の写真の頭/胸部のUP


◇群馬県立ぐんま昆虫の森・昆虫専門員の金杉さんから回答をいただきました。


下記は金杉さんから掲載の許可をいただいて転載するものです。


さて、写真のチョウですがアサギマダラではなく、「アカボシゴマダラ」というチョウの白化型です。本種は、日本にいるゴマダラチョウと似ていますが、後翅外縁に沿って赤い斑紋があることから「アカ星ゴマダラ」という名前が付いています。
アカボシゴマダラは、元々国内では奄美大島のみに生息しています。ところが数年前から神奈川県で生息が確認され、現在は東京都~埼玉県南部あたりまで広がっています。
この神奈川で見つかったアカボシゴマダラは、その斑紋や遺伝子型などから中国大陸産であることがわかっています。
だれか心無いチョウ屋の人が、大陸から生きたアカボシゴマダラ(卵・幼虫・蛹・成虫のいずれかわかりませんが・・)を持ち帰り、増殖させて野外へ放したものと考えられています。
本種は、年に数回発生するようですが(大陸産の国内での詳しい生活史は不明)、蛹で越冬し春に発生する個体は著しく白化することが知られています。写真の個体は、これに該当するものと思われます。
先に書いた奄美大島産のアカボシゴマダラは、大陸産とは亜種として分けられており、もし交雑すると遺伝子汚染が起こります。
また、本種はオオムラサキやゴマダラチョウと同じく、幼虫がエノキの葉を食べて育ちます。さらにオオムラサキやゴマダラチョウよりも繁殖力や環境への適応力が高いらしく、越冬時に調べると市街地のエノキなどでも多数の幼虫が見つかるそうです。このためオオムラサキやゴマダラチョウと生態的に競合し、それらの生息を脅かす可能性が危惧されています。
今のところ、関東南部のみが生息場所と知られていますが、今後さらに生息域を拡大して行くものと思われます。
環境省では、本種を要注意外来生物として指定してます。
****************************************************
   金杉 隆雄 (昆虫専門員)
   群馬県立ぐんま昆虫の森 企画普及係
  376-0132 群馬県桐生市新里町鶴ヶ谷460-1
  Fax: 0277-74-6466
****************************************************

◆2009.06.14ガイコツ山の記録とぐんま昆虫の森・昆虫専門員の金杉さんから回答

2010.07.31 ガイコツ山

2009.06.14に下段の白化型のアカボシゴマダラを見つけてから、夏型も見つけて撮影したいと考え、白化型を見つけたところに何度も足を運び、数回夏型と思われるチョウの飛ぶのを見たが撮影することは叶わなかった。そして、今年も春先から同所に足を運んでいたのだが2010.07になってようやく夏型を見つけ撮影にこぎ着けた。ここにUPしているのは2010.07.31にクヌギの樹液に集まっている群れを撮影したものである。映像には3匹しか写っていないが、この周囲だけで10匹以上の個体を見ている。撮影したいと追い求めたものを見つけ、それなりに納得できる記録が残せたことにはささやかな満足感はあるのだが、本来のガイコツ山 (北中の森) の環境にいる種ではないものが増殖していることに不安というか、それまでガイコツ山で生を営んで来た種にどのような影響を及ぼすのか心配になる。なるようにしかならないと言えばそれまでだが-----。

 ◆2010.10.02 ガイコツ山で幼虫を見つけた

2010.10.02 ガイコツ山 右はそのUP。

2011.06.04 ガイコツ山 白化アカボシゴマダラ。最上段2点の動画も同日に白化タイプを収録した。

 ◆2011.07.16 ガイコツ山

2011.07.16 ガイコツ山。翌日の虫探しのトラップの仕込みに来てみつけた。これを見る限りトラップの必要がない

アカボシゴマダラ01

( Youtube動画再生  01’41)

2010.07.31 ガイコツ山

アカボシゴマダラ白化02

( Youtube動画再生  01’02)

2011.06.04 ガイコツ山

チョウ目 アゲハチョウ上科 タテハチョウ科 コムラサキ亜科 アカボシゴマダラ属

アカボシゴマダラ03 /2011.07.16 ガイコツ山

( Youtube動画再生  01’08)

アカボシゴマダラ04/2011.07.16 ガイコツ山

( Youtube動画再生  01’02)

 ◆2015.07.02 自宅

アカボシゴマダラ06_150702_自宅

( Youtube動画再生  04’27)

アカボシゴマダラ07_150702_自宅

( Youtube動画再生  00’50)

アカボシゴマダラ08_150702_自宅

( Youtube動画再生  01’29)

2015.07.02 自宅。  とうとう我が家で羽化するのを見るようになるとは

 ◆2017.07.20 ガイコツ山

アカボシゴマダラ09_170720ガイコツ山

( Youtube動画再生  00’31)

 ◆2017.08.13 ガイコツ山

アカボシゴマダラ10_170813ガイコツ山

( Youtube動画再生  01’16)

アカボシゴマダラ11_170813ガイコツ山

( Youtube動画再生  01’01)

 「アカボシゴマダラ10_170813ガイコツ山(北中の森)」

 「アカボシゴマダラ11_170813ガイコツ山(北中の森)」

2014年あたりのことになってしまうが、当方のHPの白化型の記事を読んだと思われるチョウ屋の青年がガイコツ山(北中の森)に採集に来ていて、明らかにチョウ屋ではない当方を見て安心?したのか、何を撮影しているのか、いい撮影はできたかなど声をかけてきた。普段そういった会話は嫌いだし距離を置くようにしていたが、その時はお互いに喜ばしい被写体との出会いが少なかったからなのか、つい、その青年との会話を許容してしまった。自然の成り行きで当方は聞き手。青年の知識を拝聴することになる。青年はガイコツ山のアカボシゴマダラ」に触れ、「白化型」を採集するために遠方から来たということだった。家を出る前に復習でHPの記事を読み返してきたのだろう、こんちゅうの森の学芸員氏からの返信文を詳細に説明してくれた。

その時点では、まだガイコツ山ではアカボシゴマダラは特殊な存在だった。が、今では中型のチョウでは一番当たり前の存在になってしまった気がする。

yasou.jp,insect,チョウ目,アゲハチョウ上科,タテハチョウ科,コムラサキ亜科,アカボシゴマダラ,ガイコツ山(北中の森),

 ◆2017.08.16 ガイコツ山
 ◆2017.08.21 ガイコツ山

アカボシゴマダラ12_170821G

( Youtube動画再生  01’23)

 ◆2018.05.02 ガイコツ山 白化型

アカボシゴマダラ13_180502G

( Youtube動画再生  01’01)

 ◆2018.07.31 ガイコツ山

アカボシゴマダラ14_180731_ガイコツ山

( Youtube動画再生  02’28)

アカボシゴマダラ15_180731_ガイコツ山

( Youtube動画再生  00’55)

 ◆2019.05.26 ガイコツ山 白化型

アカボシゴマダラ16_190526_ガイコツ山

( Youtube動画再生  01’28)

アカボシゴマダラ17_190526_ガイコツ山

( Youtube動画再生  02’58)

 ◆2019.07.24 ガイコツ山

アカボシゴマダラ18_190724_ガイコツ山

( Youtube動画再生  01’09)

 ◆2019.08.24 ガイコツ山

アカボシゴマダラ19_190824_ガイコツ山

( Youtube動画再生  00’41)

 ◆2018.08.29 ガイコツ山

アカボシゴマダラ20幼虫_190829_ガイコツ山

( Youtube動画再生  00’47)

アカボシゴマダラ21_190829_ガイコツ山

( Youtube動画再生  01’29)

 ◆2020以降の記録は上の写真または次ページから